【ソフトバンクグループの目論見とは】PayPayの今後を考察

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2021年10月にPayPay決済を導入する加盟店への手数料が有料化されました。

これまで、PayPayは加盟店への手数料を無料としながらも、PayPay会員に高い還元率によるPayPayボーナスの付与や各種クーポンを配布しており、赤字続きの事業を行ってきました。

本記事では、PayPay事業の目的と今後について考察してみます。

【はじめに】PayPay株式会社の概要

設立日:2018年6月15日

事業内容:電子決済サービスの開発・提供

資本金:920億円

主要株主

  • ソフトバンクグループ株式会社(50%)
  • ソフトバンク株式会社(25%)
  • Zホールディングス株式会社(25%)

PayPay株式会社は合弁会社として設立された

PayPay株式会社はZホールディングス株式会社(旧ヤフー株式会社)とソフトバンク株式会社の「合弁会社」です。

合弁会社とは

合弁会社とは、複数の企業が共同で事業を行う合弁事業(JV・Joint Venture)を手掛けることを目的とし、複数の企業が各自出資金を負担して共同の株主として設立・運営する会社を言います。

つまり、PayPay株式会社は、ヤフーとソフトバンクが協力してモバイル決済サービスの開発・提供事業を行うために設立された会社ということになります。

※以下、ソフトバンクとヤフーを「ソフトバンクグループ」とします。

ソフトバンクグループが展開するPayPay事業の目的とは

PayPay事業からの収益は目的ではない

モバイル決済は、交通系ICなどの他の電子決済と同様に「スマートな決済」や「レジミスの削減」という点で利用価値が生まれ、そこから企業は決済手数料として売り上げを伸ばすというのが一般的なビジネスモデルです。

しかし、サービス開始当初の2018年10月から2021年9月まで、PayPayは加盟店からの手数料を無料としており、PayPay会員へは高い還元率でPayPayボーナスを付与するなどの特典を与えています。

とても収益が見込めるほどの売り上げがあったとは思えません。

実際にソフトバンク(株)の決算書にはPayPay(株)の損失が計上されています。それにも関わらず、現在もPayPay事業を継続しているため、これまで、収益が目的ではなかったということになります。

PayPay事業の投資的な目的

企業の最終的な目的は利益拡大ですが、事業単体でみれば、その目的が必ずしも「収益」とは限りません。これまでのPayPay事業の目的は、今後の収益の柱をつくるための「投資」的な面が強かったと思います。

① PayPay会員の増加

決済サービスを選ぶときは還元率を意識しますよね。PayPayの場合、2018年の「20%還元キャンペーン」をきっかけとして、急速に会員を獲得しました。

もちろん、還元されるPayPayボーナスを使える「PayPay加盟店」が増えないと、このキャンペーンは無意味に終わっていたはずです。

しかし、当時、国が示した「未来投資戦略2018」の中に「2027年6月までにキャッシュレス決済比率4割」が盛り込まれるなど、事業者はキャッシュレス決済の導入が迫られていた背景もあり、決済手数料が無料のPayPayを選んだというわけです。

② ソフトバンクグループの経済圏への誘導

PayPay事業で獲得した会員をターゲットとして、ソフトバンクグループが展開する他のサービスに誘導するという目的もあったと思います。実際に決済事業の成否は、会員をどれだけ経済圏へ誘導できたかで決まるといっても過言ではありません。

例えば、下記の特典は、PayPay決済経由でソフトバンクやヤフーのサービスを利用すると、サービス利用料がお得になるといった仕組みです。

ヤフープレミアム会員になると店頭でのPayPayアプリ決済の還元率+2%

ヤフーショッピング・PayPayモールでの購入は還元率+〇〇%

PayPayカード新規開設で7,000PayPayボーナス付与

PayPay加盟店への手数料が有料化された今、PayPay決済の今後は?

決済サービスは、会員が増えるほど、会員と加盟店はより多くの恩恵を受けられます。なぜなら、その決済サービスの会員が増えると、売り上げ増を目的に事業者が決済サービスを導入し、加盟店が増え、さらに会員にとっても使える場所が増えるといった好循環ができるからです。

一般的にこのような効果を「ネットワーク外部性」といいます。ネットワーク外部性が働くと、利用者が増えるほど、利用者の使用価値は上がります。

しかし、最初はなかなかユーザーを増えません。2018年からの現在までのPayPay会員の増加は、高還元率キャンペーンと加盟店手数料が無料という、利用者両サイド側の特典があったからこそ達成できたと考えられます。

それでは加盟店手数料が有料化された今、PayPayの加盟店は減少するのでしょうか?

今後はPayPay会員が多い地域に加盟店が偏在することが予想される

先述のとおり、PayPay会員が増えるほど加盟店も恩恵を受けるので、基本的には会員の多い地域はPayPay決済の導入を手放すことはないでしょう。

また、ソフトバンクグループはPayPay会員の情報から、PayPay会員の分布や消費性向を分析することができます。分析指標を活用し、ユーザーが多い地域の非加盟店に導入を進めることもできるかもしれません。

よって、今まで広い範囲で普及していたPayPay加盟店が減少するというよりは、今後はPayPay会員の多い地域に加盟店が偏ることが予想されます。

PayPayボーナスの運用を続けたい人はPayPay決済を今後も続ける

PayPayアプリには「PayPayボーナス運用」という、還元されたPayPayボーナスを運用してくれるサービスがあり、現時点でかなり多くの方が利用しています。そのため、多くのPayPayボーナスが現時点で「貯まっている」状態です。

(PayPayボーナス運用について知りたい方は下記をご覧ください。)

PayPayボーナスは現金化することはできません。つまり、PayPayが使える店舗で使わないと損をします。

せっかく貯めたPayPayボーナスですから、PayPay会員は必ず使い切ろうとします。加盟店がPayPay決済をやめてしまうと、PayPayが使える別のお店に売り上げを持っていかれてしまいます。

また、長期間こつこつボーナスを運用している人は、今後も貯め続けたいと考えるでしょう。よって、PayPay加盟店からの手数料が有料化された今でも、売り上げを伸ばすために加盟店がPayPay決済を続ける意味は十分あると言えます。

PayPay事業はソフトバンクグループの金融サービスの軸となる

ソフトバンクグループは2020年、今後、PayPayをグループにおける金融サービスの軸と位置づけ、グループの提供する金融サービスのブランド名及び運営法人名を全て「PayPay〇〇」に統一し、PayPayとの連携を強化する方針を発表しました。

ジャパンネット銀行 ⇒ PayPay銀行 (2021年4月)

Yahooカード ⇒ PayPayカード(2022年4月 予定)

ブランド名をPayPayに統一することで、楽天銀行などの他の経済圏の金融サービス利用者を、ソフトバンクグループの経済圏へ一層、誘導しやすくなると思います。

PayPay使っているし、PayPay銀行の方がお得で便利なんじゃないのかな?

もちろん、他のサービスと比較する方もいると思いますが、「とりあえずPayPayでいっか。」という感覚の持ち主も必ずいます。決済サービスのみを使用しているPayPay会員を他の金融サービスに誘導するところまでは、案外簡単に進むのではないかと個人的には思います。

よって、ソフトバンクグループが、方針どおり、PayPayを金融サービスの軸とし、金融サービスで収益を伸ばすためには以下を達成することが重要になってくると思います。

PayPay会員を今後も継続的に増やすこと

・誘導先の金融サービス(PayPayカード、PayPay銀行、PayPay証券 等)で他の経済圏との差別化を図ること

今後もPayPay会員の増加は重要課題になると思います。また、PayPay加盟店の手数料を有料化しても、赤字が解消する程度で、PayPay事業単体で大きな収益は見込めないと思います。

よって、今後はPayPay会員数とグループの金融サービス全体の収益に着目する必要があります。毎年の決算書の推移をしばらく観察しようと思います。

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この記事を書いた人
たむ

幼い頃から、深く考え込んでしまう性格で、大人になった今でも生きずらさを感じていました。「HSP」という気質を知ってから、自分と当てはまる部分が多いと知り、HSPとの上手な共生方法を模索して実践しています。試してよかったことなどを中心に、本サイトで共有します。

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